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環境関連情報

新シップリサイクル条約(船舶版RoHS)

船舶における有害化学物質規制

情報発信日:2007-11-26

船舶における有害化学物質含有規制(概要)

2007年9月19日付けで国土交通省海事局造船課が出した通達によると、船舶の解体作業時の作業者への安全対策、海洋汚染防止を目的とした「新シップリサイクル条約」において、「有害物質一覧表(インベントリ:船舶に使用されている有害物質の所在・量を示す一覧表)の作成、船舶への保持、更新が義務化される予定」と記載されています。また「とくに新船にかかるインベントリは、舶用機器メーカー各位が作成した材料調査シート(各舶用製品に含有する有害物質の種類、量等を記入した文書)に基づいて作成する必要がある」とも述べられています。

すなわち、日本が本条約を締結した場合には、船舶に艤装されるバルブや継手などを納入する際に、RoHS指令と同様な手法により有害物質一覧表を添付して納品する義務を負うことになります。

ただし、本規制には拡大版RoHSともいえるJoint Industry Guidelineが準用される模様で、下記表に示すように管理物質はRoHS規制6物質にアスベスト、有機錫、PCB、オゾン層破壊物質など17物質を加えて23物質となる可能性があります。

本条約は国際海事機関(IMO)により、2009年春に「船舶の安全かつ環境上適切な再資源化のための国際条約」として採択することを目指して議論が進められているとのことです。

規制・管理が検討されている有害化学物質

今後の予定

国土交通省は本条約が締結された場合の影響、材料調査シート(インベントリ)作成過程における問題点の把握を目的として、インベントリの作成を実験的にスタートしています。

もし、会員企業に対してこのような依頼があった場合は、上述したような背景によるものです。

最終的に、規制/管理物質の範囲がどこまでになるかは定かではありませんが、2009年春以降、船舶本体及び艤装品はすべて、この調査シートを添付して納品することが義務づけられることになると思われますので、関係がある会員企業は早めに準備を進めるのがよいと思われます。

欧州で始まった有害化学物質規制ですが、自動車、電機・電子機器を皮切りに、同様な規制が世界各国、その他の業種へと益々拡大をみせていますので、環境WGでは引き続きこのような動きを先取りして情報提供できるように努めていきたいと思います。

有害化学物質の管理とサプライチェーン

すでにRoHS指令やグリーン調達基準に対応されている会員の方々はご存知かと思いますが、有害物質の管理は自社で化学分析を行うのでは膨大な費用がかかりコスト面で見合わないために、調達先(サプライチェーン)からデータを集めて下流へ情報を伝達する仕組みを構築する必要があります。

ついては、部品ごとのデータ管理が必要ですので、自社の調達先すべてに対してデータ受渡しがスムーズに進むような協力依頼に始まり、社内でのデータ管理の仕組み作りなどかなりの労力をともなう作業がありますが、前述したとおり、有害物質管理の動きは国や地域、業種を越えて広がりをみせていますので、できるだけ早い対応準備をお勧めします。

参考文献及び引用先

注意

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