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環境関連情報

化学物質のデータベースについて

情報発信日:2004-07-22

環境の世紀と化管法

21世紀は環境の世紀といわれ、全世界が協調して地球環境の保護に取り組み始めています。1992年にリオデジャネイロで行われた地球サミット(国連環境開発会議)で採択された行動計画(アジェンダ21)において、日本では数万種類、全世界では10万種類といわれる化学物質の管理が重要であると認識され、1996年OECD(経済開発協力機構)により加盟国に対して特定化学物質の管理に関して法制化することが勧告されました。これを受けて、わが国でも1999年7月13日に「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化管法)が制定されました。

この法律は、事業者が化学物質の排出量と移動量を自主管理するため、化学物質安全性データシート(MSDS)の交付の義務化と排出量等の届出を定めており、2000年度中からMSDS交付の義務化、2001年度から排出量等の掌握が、2002年4月からは排出量等の届出(PRTR)が開始されます。

化学物質の安全性と毒性

さて、このような状況は理解できましたが、化学の専門家でさえ、数万〜数十万種類もある化学物質について、その名前からその物質の物性や毒性、安全性について、即答するのは困難な状態にあります(化学の専門家でなければ、なおさらチンプンカンプン)。

しかし、日常の仕事のなかで遭遇するさまざまな化学物質について化学の専門書を調べることなく、素人にもわかりやすく調べる方法はないものでしょうか?

国際化学物質安全性カード(ICSC:International Chemical Safety Cards)

ICSCとは、国際化学物質安全性計画(IPCS)が作成している国際化学物質安全性カード(ICSC)を国立医薬品食品衛生研究所(日本のIPCS担当研究機関)が、IPCSの許可を得て日本語に翻訳しているものです。

ICSCは、工場、農業、建設業、その他の作業場で、労働者や雇用者が使用する化学物質の健康や安全に関する重要な情報を簡潔にまとめたものです。ICSCは法的な拘束力をもつ文書ではありませんが、国際的に認められた専門家たちが健康や安全性に関する情報を収集・検証し、詳細に検討してまとめた標準語句から成り立っている、権威あるデータです。ここでは製造業や中毒センターの意見等も考慮されています。

登録数は1,000件超で数万〜数十万存在する化学物質からすると少なく思われるかも知れませんが、比較的多く生産されている汎用的な化学物質が中心ですので、通常の場合であれば不自由のないデータだと思われます。

ICSCとMSDSの違い

化管法の成立により、化学物質の安全性、毒性に関するデータベースとしてはMSDAの方が知名度は高いかも知れません。

たしかに、ICSC及び製造業者の安全データシート(SDS)、もしくは製品安全データシート(MSDS)の各種項目には大きな類似性があります。しかしICSCとMSDSは同じではありません。MSDSは多くの場合、仕事場での使用には専門的に非常に複雑であったり広範囲すぎることがあります。また、MSDSがマネージメント用のドキュメントであるのに対し、ICSCはより簡潔かつ簡単な様式で詳細に検討された物質情報を提供するものです。ICSCは法的拘束力をもつドキュメントではありませんが、WHO/ILO/UNEPから提供されている権威あるドキュメントです。

ICSCの利用の仕方

ICSCは国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)のウェブサイトから万人が利用でき、50音順またはアルファベット順から検索できます。

参考

注意

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