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環境関連情報

「環境にやさしい企業行動調査」の結果

環境省 平成22年度版を公表

情報発信日:2010-12-20

環境にやさしい企業行動調査

環境省は2010年12月7日付けで平成22年度版の「環境にやさしい企業行動調査」についての結果を公表しました。

「環境にやさしい企業行動調査」は環境省が平成3年度から毎年継続的に実施している調査で、我が国の企業における「環境に配慮した行動」の定着性や環境保全に向けた取り組み状況の把握とその公表によって企業における環境に配慮した行動を推進することを目的として、東京・大阪及び名古屋証券取引所の1部と2部上場企業2,415社と従業員500人以上の非上場企業及び事業所4,282社の合計6,697社を対象に本年度は2010年8月から9月にかけてアンケート調査が行なわれました。

アンケートの回答率は上場企業1,142社(47.3%)、非上場企業及び事業所1,894社(44.2%)、合計3,036社(45.3%)でした。

※なお、非上場企業・事業所には東京・大阪・名古屋以外の証券取引所上場企業や企業以外にも生協、農協、医療法人、公益法人などが含まれています。

調査項目

(1) 環境に関する取組状況などについて
(2) 環境マネジメントシステムなどの監査、認証などについて
(3) 子会社、取引先との関係について
(4) 環境会計について
(5) 環境に関する情報開示、コミュニケーションについて
(6) 環境ビジネスについて
(7) 地球温暖化防止対策について
(8) 生物多様性の保全について

調査結果の概要

(1) 環境に関する取組状況などについて

「環境への取組と企業活動のあり方」について

「社会的責任(CSR、社会貢献を含む)」と回答した企業が最も多く81.0%、ビジネスチャンスと回答した企業は6.4%で有ったが年々増加傾向。一方、「法規制クリア」「業績を左右する重要な戦略」「関連が無い」と回答した企業は10%以下で有ったが「法規制クリア」は増加傾向にあります。

(2) 環境マネジメントシステム等の監査、認証等について

「ISO 14001の認証取得状況」について

平成8年頃より増加し始め、平成16年以降は横ばい状況。本年度の回答では上場企業で77.9%、非上場企業が54.6%で取得。(全事業所または一部の事業所) 売上高が高くなるほど取得する割合は高い傾向にあります。

ISO14001取得による効果としては、

(3) 子会社、取引先との関係について

「子会社の環境配慮の取組に関する指導の状況」について

子会社の環境配慮の取組に関する指導の状況については「実施している」「主要な子会社のみ実施」を合わせて約65%が実施となっています。

「グリーン購入の取組」について

環境に配慮したグリーン購入については増加傾向で75%弱の企業が意識しています。

(4) 環境会計について

「環境会計の導入状況」について

ここ数年、傾向は横ばいですが、売上高の高い企業ほど環境会計を「既に導入している」と回答した割合は、高くなっています。

(5) 環境に関する情報開示、コミュニケーションについて

「環境報告書の作成・公表の状況」について

「環境報告書(CSR報告書、持続可能性報告書等の一部を含む)を作成し公表している」と回答した企業は平成9年頃より増加し平成17年頃より現在まで35%前後で横ばい。平成21年度は35.9%で前年度(38.3%)と比べるとやや減少しているが、売上高別にみると1,000億円以上の企業では「環境報告書(CSR報告書、持続可能性報告書等の一部も含む)を作成・公表している」と回答した企業は8割以上に上っています。

(6) 環境ビジネスについて

「環境ビジネスの位置づけ」について

既に環境ビジネスを実施している企業が41.6%、「今後、事業展開の予定がある」、「今後取組みたい」を合わせると60%以上の企業が環境ビジネスに関心を示しています。

(7) 地球温暖化防止対策について

「地球温暖化防止策への取組に対する位置づけ」について

「方針を定め、取組を行っている」と回答した企業は59.4%で最も高く、ここ数年増加傾向にあります。「方針は定めていないが、取組は行っている」との回答29.9%と合わせると全体の9割近くの企業が地球温暖化に対して何らかの取組を行っていることになっています。

「地球温暖化対策税(環境税)の導入」については

地球温暖化税の導入については「賛成」「どちらかと言うと賛成」を合わせると40.7%、「どちらかと言うと反対」「反対」を合わせると35.2%で、賛成が反対を上回る結果となっています。

「温暖化税の使途」については「温暖化対策」(57.2%)や「省エネ投資の促進」(21.8%)に使うべきとの回答が多くを占めています。

「国内排出量取引制度の導入」については、「賛成」「内容次第ではあるが賛成」を合わせて34.9%と、「反対」「内容次第ではあるが反対」を合わせた25.9%を昨年度同様に上回っています。

(8) 生物多様性の保全について

「生物多様性の保全への取組と企業活動のあり方」について

生物多様性の保全への取組と企業活動のあり方については、「企業活動と大いに関連があり、重要視している」と回答した企業の割合は17.2%となっており、昨年度(13.4%)より増加しています。

また、事業活動における生物多様性保全の取組状況についても、「方針を定め、取組を行っている」「方針は定めていないが、取組は行っている」を合わせて24.5%となっており、生物多様性保全の取組を行っている企業は増加傾向にあります。

まとめ

企業における、環境に配慮した企業活動や環境負荷低減に対する取組は「環境対策は必要だが、お金が掛るし、人も居ない」と言った一昔前の消極的な対応から「企業の社会的責任(CSR)」の一つと位置付け、「環境対策はコストダウンや社会的な信用も高める」「環境対応をビジネスチャンスと捉える」など積極的に「環境にやさしい企業活動」を目指す動きが見てとれます。この動きは、売上規模が大きい企業ほど顕著と言えますが、逆に規模の小さい企業での取組が遅れている様子も見て取れると言えます。

以前は企業活動にとって、必要な要素はQ(品質)C(価格)D(納期)でしたが、ここ最近ではQCD+E(環境)と言われており、積極的に環境問題と向き合う必要が有ると言われており、今回の調査結果より、その傾向が伺えると言えます。

引用・参考資料

注意

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