ホーム > 環境について > 環境関連情報 > 「環境税」導入の動き具体化#2

環境関連情報

「環境税」導入の動き具体化#2

情報発信日:2005-11-20

環境省が2005年版「環境税具体案」を公表

概要

環境省は2005年10月25日、同省としての地球温暖化防止を目的とした環境税の具体案をまとめ、改めて公表しました。同省の環境税の具体案公表は2004年11月に続いてのものです。

課税案

今回示された案は、課税対象を家庭・オフィス、温室効果ガスの大口排出者の事業活動、電気事業者で使われる化石燃料を対象として、税率を炭素1トンあたり2,400円(石炭1キログラムあたり1.58円)、税収を約3,700億円とする内容です。

税率は2004年の案と同程度ですが、原油価格高騰の影響を受けているガソリン、軽油、ジェット燃料には当面課税しないとし、一世帯あたりの年間負担額は約2,100円(月額約180円)だとしています。

税収の使途は2004年案と同様で「一般財源にする」としていますが、前回案では「一部を社会保険料の軽減などにも利用する」としていたのに対し、今回は「全額を地球温暖化対策に充てる」としています。

なお、環境省ではこの税制の導入により、温室効果ガスを二酸化炭素換算で4,300万トン程度(90年基準で3.5%程度)削減できるとしています。

税の目的

環境税は、地球温暖化防止を目的として二酸化炭素の排出量に応じ、工場や企業、家庭などから幅広く負担を求めることにより、広く国民に対し温暖化対策の重要性についての認識を促し、排出量の削減を推し進めることを目的しています。また、京都議定書目標達成計画の実施にあたり必要な安定的財源の確保も可能とするなど、各種温暖化対策の実効性を確保することができる有力な手段であるとしています。

環境税の使途

環境税の税収は、森林の整備・保全や家庭・企業の省エネ促進など緊急性が高い対策に用いることとし、また、税の仕組みの構築にあたっては、最近の原油価格高騰による影響等も踏まえ、国民負担や産業の国際競争力維持への配慮、一定の削減努力をした企業に対しての軽減措置なども工夫していますが、地球温暖化防止にはさらなる予算が必要とし、特定財源の追加処置も求めています。

環境税の減免処置

地球温暖化防止処置として炭酸ガス排出量の削減に努力した企業などへは以下の減免処置を行うとしています。

国際競争力の確保や一定の削減努力をした企業への配慮等のため、一定の削減努力をした大口排出者が消費する石炭、天然ガス、重油、軽油、ジェット燃料について軽減を行う(1/2に軽減。ただし、一定の削減努力をしたエネルギー多消費産業に属する企業の場合は1/2軽減に加え、さらに1割軽減)。鉄鋼等製造用の石炭、コークス等は免税する。灯油の軽減(税率1/2)等を行う。

税率

*1 灯油については税率を一律2分の1軽減
*2 都市ガス、電気については、原燃料課税分が電気料金、都市ガス料金にすべて転嫁された場合の税率に相当する率
*3 電気に係る排出係数は、全電源平均をとったもの
揮発油、軽油、ジェット燃料については、当分の間、適用しない

一世帯当りの税負担額(年額推定)

実施の可能性とその時期

環境省案の実施時期は平成19年(2007年)1月としており、2003年の時点では2005年上期の通常国会にて税制改革要望に盛り込む目算でしたが、政府税制調査会の検討結果により見送られる方向となりました。理由は、二酸化炭素など温室効果ガスの抑制効果が固まっておらず、ガソリン(揮発油)税など、既存のエネルギー関連の税との整理に時間がかかるためとされましたが、今回もこの辺が議論になると思われます。また、前回の提案では経済団体の多くが決起集会まで開いて環境税に反対しましたが、環境省の所管する「全国地球温暖化防止活動推進センター」などが実施したアンケートでは、約54%の人が「賛成」「やむを得ない」と容認しています。

情報源・出典・参考情報

注意

情報一覧へ戻る