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環境関連情報

世界気象機関報告 -2011〜2015年は史上最も気温が高い5年間-

同時に世界の主要温室効果ガス濃度は過去最高値とも報告

情報発信日:2015-12-24

はじめに

国連の専門機関であり、地球の大気の状態、その海洋との相互作用、それが作り出す気候とその結果による水資源の分布、そして関連の環境問題について権威ある科学情報を提供することを主要な任務とする世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)が、2015年11月9日付けの「WMO温室効果ガス年報第11号」において、「世界の主要温室効果ガス濃度は過去最高値」と発表しました。続けて、2015年11月25日付けの報道においては「2011〜2015年までの5年間は史上最も気温が高く、2015年はその中でも一番高い」と発表しました。

地球の温室効果ガス濃度は上昇を続けており、これに伴い気温も上昇していることを報じたものです。

筆者がこのコラムを執筆している2015年12月11日は、11月30日からフランスのパリで開催されているCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)の最終日と予定されておりますが、先進国と途上国の対立が激しく、世界各国の温室効果ガス削減交渉がどうなるか心配されています。このCOP21の結果は別途お知らせするとして、今回は世界気象機関が発表した、温室効果ガス濃度と世界の気温に関する報道について、まとめてみたいと思います。

世界の主要温室効果ガス濃度は過去最高値を更新(出典:気象庁報道)

WMOは、2015年11月9日に発表した「温室効果ガス年報第11号」において、「世界の主要温室効果ガス濃度(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素)は引き続き増加を続けており、2014年の年平均濃度はそれぞれ観測史上最も高かったことがわかった」と報告しました。

日本の気象庁は、WMOの温室効果ガス世界資料センター(World Data Centre for Greenhouse Gases: WDCGG)を運営しており、WMOの下で観測された世界中の温室効果ガス観測データを収集・解析していて、2014年12月までの世界の温室効果ガス測定データについても解析を行いました。この結果がWMOの温室効果ガス年報(Greenhouse Gas Bulletin)第11号とし発表されました。

内容としては、「今回の解析結果によると、大気中の主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)及び一酸化二窒素(N2O)は引き続き増加を続けており、 2014年における世界の年平均濃度はそれぞれ過去最高値を記録しました」としています。また、地球温暖化の最も大きな因子とされる大気中の水蒸気の役割についても解説しており、COP21用の資料としても使用されているようです

水蒸気と二酸化炭素は、主要な温室効果ガスであり二酸化炭素は気候変動の主要な駆動要因です。

水蒸気の変化は、主に二酸化炭素の変化に応じて生じます。

【解説】

従来から、水蒸気は温室効果ガスとして二酸化炭素に比べてはるかに大きいのに、これを論じないのはおかしいという指摘がありました。大気中の水蒸気量は他の温室効果ガスと異なり気温の上昇下降に伴い大きく増減するため、このような報告において触れられていませんでしたが、今回初めてこのようなデータ解説が行われました。

2014年のNOAA(米国海洋大気庁)年次温室効果ガス指標は1.36で、長寿命の温室効果ガスによる放射強制力の総計は、1990年以降2014年まで36%、2013年からは1.2%増加しました。

すべての長寿命温室効果ガスによる放射強制力の合計は二酸化炭素等価換算濃度(モル分率)で481ppm相当。うち、二酸化炭素は全体の65%を占めますが、2014年の濃度は産業革命以前の濃度(278ppm)の1.43倍に達しています。

図1 二酸化炭素濃度と地表のエネルギーフラックス及び気温の関係(出典:気象庁/世界気象機関)図2 長寿命の温室効果ガスによる放射強制力(1750年基準)の経年変化と2014年のNOAA(米国海洋大気庁)年次温室効果ガス指標(AGGI)(出典:気象庁/世界気象機関)図3 二酸化炭素 図4 メタン 図5 一酸化二窒素  各温室効果ガスの1984〜2014年までの(a)世界平均濃度と(b)1年当たりの増加量

 

【報告書の概要】

WMOの全球大気監視(GAW)計画から得られた観測結果の最新解析によると、
(1) 2014年における主要な温室効果ガスである二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の世界平均濃度はそれぞれ、397.7±0.1ppm、1,833±1ppb、327.1±0.1ppbとなり、これまでの最高値を更新しました。
(2) これらの値は、工業化(1750年)以前の、それぞれ143%、254%、121%となりました。
(3) 大気中の二酸化炭素の2013〜2014年の濃度増加量は過去10年間の平均増加量に近い。
(4) 大気中のメタンと一酸化二窒素の濃度増加量は過去10年間の平均増加量よりも大きい。
(5) 米国海洋大気庁(NOAA)年次温室効果ガス指標(Annual Greenhouse Gas Index)によると、1990年から2014年までに、長寿命の温室効果ガス(LLGHG)による放射強制力は36%増加しており、二酸化炭素がそのうち約80%を占める。

2011〜2015年までの5年間において世界の平均気温は史上最高(出典:世界気象機関)

WMOは2015年11月25日付けで「2011〜2015年の5年間の世界平均表面気温は史上最高で、中でも2015年は最も高くなり、工業化以前に比べて約1℃上昇と重大な段階に入る見通しである」との発表を行いました。

その原因は、強いエルニーニョ現象の発生と人間によって誘発された地球温暖化の組合せによるものとしています。

【発表の概要】

(1) 2015年1〜10月のデータを分析した結果、世界の平均表面温度は、1961〜1990年の平均気温14.0℃から0.73℃高くなり、工業化以前の1880〜1899年と比較し、約1℃高くなりました。WMOの事務総長は「2015年は、大気中の温室効果ガス濃度が高値を更新し、2015年は春の3ヶ月間において北半球での二酸化炭素濃度は初めて400ppmを超え、海洋表面での温度も測定以来最高値を計測するなど世界の気象の状況は、歴史に残るものであり、地球にとって悪い情報です」と語りました。
(2) この事に加えて、過去に経験したことがないような強いエルニーニョ現象を観測し、これは2016年まで続くと予想されます。海洋は、人間が排出した温室効果ガスの90%以上を吸収して来た結果、海面温度が上昇したと考えられます。2015年の最初の9ヶ月間、海面下700mと2,000mで世界的な海洋熱含有量は記録的な高い水準となりました。
(3) 2011〜2015年までの5年間は、1961〜1990年の平均よりも暫定で0.57℃高くなり過去最高で、世界の各地で極端な異常気象が多発しました。熱波により5月にはインドで、6月にはパキスタン南部など幾つかの地域で42〜45℃という高温を記録し、ヨーロッパや北アフリカ、中東などにも及びました。また記録的な大雨が米国、メキシコ、ボリビア、ブラジル南部、南東ヨーロッパ、パキスタン、アフガニスタンなどを襲いました。また、1〜2月にはアフリカに記録的な降雨をもたらしました。その他、南米、米国、中国などでも豪雨による被害が出て、経済的には250億ドルの損失を被り、7,500万人に影響が及びました。
(4) 科学的な評価によって2011〜2015年の5年間(特に、極端な高温)における極端な気候変動は人間の活動によって誘発された結果である可能性があると判明しました。

上記の内容をグラフにした図が、WMOのサイトに掲載されています。

まとめ

筆者がこのコラムを執筆している2015年12月11日は、11月30日よりフランスのパリで開催されているCOP21(気候変動枠組条約第21回締約国会議)の閉会予定日ですが、最終的に世界各国がどのような対応するのかは地球の未来を語る上で極めて重要な日といえます。このCOP21をにらみ世界気象機関(World Meteorological Organization: WMO)は、2015年11月9日に世界の温室効果ガスの濃度に関して、また2015年11月25日には、世界の年間平均気温及び海水温に関する報告を行いました。これらの報告内容はCOP21での討議資料として使用された模様です。

これら2件の報告の概要は以下の通り。

【世界の温室効果ガス濃度について】

(1) 2014年における主要な温室効果ガスである二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の世界平均濃度は、これまでの最高値を更新しました。
(2) 米国海洋大気庁(NOAA)年次温室効果ガス指標(Annual Greenhouse Gas Index)によると、1990年から2014年までに、長寿命の温室効果ガス(LLGHG)による放射強制力は36%増加しており、二酸化炭素がそのうち約80%を占めています。
【世界の年次平均気温及び海水温度について】
(1) 2015年1〜10月のデータから、世界の平均表面温度は、1961〜1990年の平均気温14.0℃から0.73℃上昇し、工業化以前の1880〜1899年と比較し、約1℃高くなりました。
(2) 2015年春の3ヶ月間で、北半球の二酸化炭素濃度は、史上初めて400ppmを突破し、海水温度も測定開始以来の最高値を記録しました。
(3) 原因は、過去に経験したことのないほど強いエルニーニョ現象の発生によるもので、人間が排出してきた温室効果ガスを海洋が吸収した結果とも推定できます。
(4) この結果、熱波、豪雨による洪水、干ばつ、大型台風やハリケーンの来襲など、世界各地に極端な異常気象をもたらし、巨額の経済的な損失と人的被害をもたらしました。

【結論】

WMOのジャロー事務局長はCOP21開催前に「人間の活動の結果である、温室効果ガスの増加により世界の気温や海水温度の上昇との関連は、科学的な分析の結果関連があることは疑いが無い。」とした上で「「温室効果ガスの排出抑制は可能であり、我々には行動のための知識と手段がある」と締めくくりました。

引用・参考資料

注意

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