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環境関連情報

わが国の新しい希少資源リサイクル制度の動き(1)

希少資源(レアメタル、レアアース)について

情報発信日:2012-4-23

はじめに

ここ数年、レアメタルとかレアアースという言葉を良く聞きます。これらの材料は携帯情報端末機器、電気自動車、LED照明など「今後日本の基幹産業となりうる」であろう新しいハイテク産業には欠かせない材料として重要視される一方で、文字通り「レア(希少)」な材料であり、世界の先進国の間で静かな争奪戦が繰り広げられています。また世界の主要な産出国の一つである中国が尖閣諸島問題などで日本に対する輸出制限を行ったりする動きが出たりとこれらの資源確保を巡っての駆け引きも活発化してきています。このため、わが国にとっては将来に向けてこれらの希少資源を確保する事は極めて重要な課題であり、政府としてもリサイクルを含めたこれらの資源確保に向けた動きを見せ始めていますので、今回はその辺を探ってみたいと思います。

レアメタルとレアアースとは

(1) レアメタルの定義

レアメタルとは文字通り訳せば「希少な金属」の事ですが、物理的・化学的性質により分類されるものではなく、どちらかというと人間の科学的または産業的な都合によって恣意的に分類される金属であり、従って希少な金属であっても利用価値がない場合にはレアメタルとは呼ばれませんが、種々の文献を見ると概ね「レアメタル」とは以下の条件に少なくとも一つ以上該当する場合が多いようです。
① 地殻中に元々存在量が少ない。
② 産出する場所が世界の特定の地域や場所に偏っている。
③ 産出しても分離・精製が非常に難しい。  

レメタルは一般に下記の表1に示す周期(律)表で黄色に塗り潰した30種類及び後述するレアアース(希土類)17種類との合計47種類の金属を指し、一般的にはレアアースもレアメタルに含まれます。  

レアメタルは他の金属との合金を作る事によって特異な性質を示す事が多く、近年のハイテク産業に欠かせない材料になっています。

(2) レアアース(希土類)の定義

レアアースはレアメタルに比べて学問的な定義があり、表1の周期(律)表の3族に分類されるスカンジウム、イットリウム及びランタンからルテチウムまでのランタノイド(第一希土類)とアクチニウムからローレンシウムまでのアクチノイド(第二希土類)までの30種類の元素を指しますが、産業上ではアクチノイド(第二希土類)は除きます。

発見当初から、希少な物質ということで希土類金属と呼ばれましたが、現在では全ての希土類金属が希少資源とはなっていません。

世界のレアメタルとその産出国・用途

レアメタルのリサイクルにおける問題点

レアメタル、中でもレアアース(希土類金属)は従来の材料にほんの少量を添加して合金を作ることによって、例えば極めて強力な磁性材料を作り出す事ができるネオジムやジスプロシウムなどがあり、ハードディスクドライブや電気自動車用モータ、MRI(医療用画像診断装置の一種で核磁気共鳴画像装置と呼ばれる)、音響装置など幅広い分野での利用が拡大してきています。これらの元素は磁石製造の過程で加工屑や不良品などの形でその2~3割は回収されリサイクルされていると言われていますが、残りは商品として消費者の元に送り出されて行きますが、これらのリサイクルは現在ほとんど行われていないのが実情のようです。理由は例えばハードディスクドライブに占める磁石の重量割合は2~3%と言われ、回収・リサイクル技術はありながらリもサイクルコストが高過ぎることや市場規模が小さいために実際のリサイクルが行われていない状況にあります。 従って、これら使用済みレアメタルなどの希少資源を回収してリサイクルするためには、政府主導の効率的な回収方法の確立と併せて安価にリサイクルするための技術開発が必要ということになるかと思います。現在、希少資源と言われながらも必要な量は輸入が出きていますが、世界の先進国での奪い合いが静かに始まっていることや、冒頭の中国における政治的な理由などにより、入手が困難になる可能性もあり、長期的な展望に立っての対応が必要になると言えます。

まとめ

レアメタル、中でもレアアース(希土類金属)が新しいハイテク産業の中に占める重要性がここにきて大きな高まりを見せてきています。しかし表2の主要産出国に示すように産出地域・国が偏在しており、特にレアアース(希土類金属)は何とその97%を中国が占めているという、ある意味で日本の新しいハイテク産業の根幹が非常に危うい基盤の上に成り立っている状況が理解できたかと思われます。 このような状況を考慮し、将来に向けてこれら希少資源のリサイクル技術の開発、効率的な使用済み品の回収・リサイクルルートの確保など、いわゆる都市鉱山の有効利用に向けての種々動きが出てきていますので、次回はその辺について述べたいと思います。 。

参考文献及び引用先

注意

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