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持続可能な開発目標ガイド(Guide of SDGs)とは

今から2030年へ、世界が目指す17の鍵

情報発信日:2015-11-27

はじめに

2015年9月25日〜27日、ニューヨーク国連本部において「国連持続可能な開発サミット」が開催され、150を超える加盟国首脳の参加のもと、その成果文書として「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(日本語(外務省仮訳))が採択されました。

国連広報センターは「人間、地球及び繁栄のための行動計画として、宣言および目標をかかげました。この目標が、ミレニアム開発目標(MDGs:2000年国連総会において定められたミレニアム開発目標で2015年までに途上国の貧困、健康、環境を改善するための目標設定)の後継であり、17の目標と169のターゲットからなる『持続可能な開発目標(SDGs)』で、国連に加盟するすべての国は、全会一致で採択したアジェンダをもとに、2015年から2030年までの15年間に、貧困や飢餓、エネルギー、気候変動、平和的社会など、持続可能な開発のための諸目標を達成すべく力を尽くします」と述べています。

現在地球は、温室効果ガスによる気候変動の抑止、資源・エネルギーの枯渇を抑えた循環型社会の形成、生物多様性保全という3つの大きな環境問題を抱えていますが、これを乗り越えるためには持続可能な開発を進める必要があり、そのために2030年に向けての諸目標が定められ、世界各国が協調してこれに向かって行く必要があります。

またこのアジェンダには、テロの原因ともいわれている差別・格差や貧困・飢餓の問題解決の重要性も述べられています。

SDGsは今後、私達が企業活動や個人の生活を送る上での、「地球憲章」といえると思われますので、以下概要を示します。

 

持続可能な開発・発展のための目標-SDGs(Sustainable Development Goals)とは

※本項は「グリーンエコノミーフォーラム」資料及び「外務省資料」より引用して記載しました。

①持続可能な開発目標(SDGs)の可能性=法的拘束力や強制力は無いが、逆に野心的な目標

SDGsは、既存の国際条約、交渉の限界、縦割りなどの問題を乗り越える可能性(気候変動抑止のための交渉の限界、生物多様性保全に関する交渉における縦割りなどを乗り越える可能性等)や、国際社会の取組の停滞等に、ブレークスルーを与える可能性があります。

SDGsには法的な拘束力や強制力には乏しい反面、野心的な目標設定が期待されています。それによって、各国(先進国、新興国、途上国)、企業・個人(消費者、投資家、労働者)など多ようなステークホルダーによる野心的な取組が拡大して行く可能性を秘めています。

②持続可能な開発目標(SDGs)の意義

SDGsによる理想が掲げられる反面、巨大に膨れ上がった世界経済は、大規模な資金(グローバルマネー)フローで富のさらなる拡大・一極集中により、富んだ者はより豊かに、貧しい者はますます貧しくなり、その格差は年々拡大方向に向かっています。富んだ者による経済活動などにより資源枯渇や環境悪化が進んでいます。このような状況を打破しようと、1992年の地球サミットにおいて巨額の軍事費を貧困や環境問題の解決に使うべく方向変換する(平和の配当)ことが目標として定められましたが、このことはすっかり忘れ去られ、世界の軍事費は再び膨張を続け、現在では1992年の規模を上回る状況にあるといわれています。

ますます複雑化して行く現代世界において、全体を統合的に包括する人類社会の協働や共通目標をSDGsとして、改めて明示できた意義は大きいといえます。

③持続可能な開発目標(SDGs)の概要

SDGsの最大の目標は「グローバルからローカルまで、全ての国とステークホルダーの連携によって実施し『誰も取り残さない(No one will be left behind』を約束しているところにあります。

持続可能な開発の「3つの側面(経済、社会、環境)」がバランスした今後15年間の目標を位置付けられています。

17の目標(課題)と169のターゲットが示されています。大きくは5つのP(People:人々、Planet:地球、Prosperity:繁栄、Peace:平和、Partnership:連携)として集約され、17の目標は(1)貧困、(2)飢餓、(3)健康・福祉、(4)教育、(5)ジェンダー、(6)水、(7)エネルギー、(8)経済・雇用、(9)インフラ・産業、(10)不平等、(11)都市・居住、(12)生産消費、(13)気候変動、(14)海洋、(15)陸域生態系、(16)平和、(17)実施・パートナーシップです。

これらの目標・指標は分割されず相互に関連・連動しています。MDGsに対して2030年を念頭にしたSDGsでは、貧困や格差は途上国だけの問題ではなく、全ての国に共通する問題と認識し、より多くの目標とターゲットが示されているため、より包括的である一方で、理解と普及面で課題が残るといわれています。

持続可能な開発目標(SDGs)の17の目標と169のターゲット

※本項はグリーンエコノミーフォーラムのパンフレットより引用しました。

(1) あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる。
(2) 飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。
(3) あらゆる年齢の全ての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する。
(4) 全ての人々への包括的かつ公平な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。
(5) ジェンダー平等を達成し、全ての女性及び女児の能力強化を行う。
(6) 全ての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する。
(7) 全ての人々の、安価で信頼できる持続可能な近代エネルギーへのアクセスを確保する。
(8) 包括的かつ持続可能な経済成長、及び全ての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する。
(9) 強靭(レジリエント)なインフラ構築、包括的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る。
(10) 各国内及び各国間の不平等を是正する。
(11) 包括的で安全かつ強靭(レジリエント)で持続可能な都市及び人間居住を実現する。
(12) 持続可能な生産消費形態を確保する。
(13) 気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる。
(14) 持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形に利用する。
(15) 陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、並びに土地の劣化阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する。
(16) 持続可能な開発の為の平和で包括的な社会を促進し、全ての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包括的な制度を構築する。
(17) 持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。

SDGsでは、17の目標だけではなく、より具体的な169のターゲットを定めています。どのターゲットも持続可能な開発には不可欠なものですが、新たな経済社会を目指す「グリーンエコノミー」(※)と特に関係が想定しやすい指標がいくつかあります。

※グリーンエコノミー:将来世代を著しい環境リスクや生態系の欠乏に晒すことなく、長期的に人間の幸福を向上させ、不平等を軽減する経済(国連環境計画UNDPの2010「グリーン経済報告書」より)。

ターゲットの一部紹介;

(2)飢餓を終わらせ、食糧安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する。 (2)-5 2020年までに、国内、地域、及び国際レベルで適正に管理及び多様化された種子・植物バンクなどを通じて、種子、栽培植物、飼育動物、家畜、及びその近縁野生種への遺伝的多様性を維持し、国際的合意に基づく遺伝資源及び伝統的な関連知識の活用による便益へのアクセス及び公正かつ公平な共有を推進する。 (7)全ての人々の、安価で信頼できる持続可能な近代エネルギーへのアクセスを確保する。 (7)-a 2030年までに、再生可能エネルギー、エネルギー効率、及び先進的かつ環境負荷の少ない化石燃料技術などのクリーンネネルギーの研究及び技術へのアクセスを促進するための国際協力を強化し、エネルギー関連インフラとクリーンエネルギー技術への投資を促進する。 (12)持続可能な生産消費形態を確保する。 (12)-3 2030年までに小売り、消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる。

 

まとめ

持続的な開発目標SDGsは、2015年9月に国連本部における地球サミットにおいて2015年から2030年までの15年間に、開発と環境、貧困や格差の解消を目標として、各国政府や企業、NGO、個人がなすべきことをまとめたものですが、法的な拘束力や強制力を持たないため、各国政府としては自国の利害を優先した場合には、アジェンダの目標と必ずしも一致しない場合があります。このため全ての人々が地球市民として、また個人として何ができるのかを考えて行動しない限り、MDGsのように絵に描いた餅になりかねません。

現在、この地球においては人口の増加や産業の発展などが急速に進んでいますが、これによって巨大に膨れ上がった世界経済は、大規模な資金(グローバルマネー)フローを産み、富のさらなる拡大・一極集中によって豊かな者はより豊かに、貧しい者はますます貧しくなり、その格差は年々拡大方向に向かっています。富んだ者による経済活動などにより資源やエネルギーの枯渇や環境悪化が進んでいます。

このため、このアジェンダSDGsが掲げる目標を達成するには、資金力のある大企業など「富める者」を巻き込んだ活動が不可欠といえます。

社会的責任が問われている企業活動において、種々の法規や規制などを受け身で捉えるのではなく、積極的に向き合い企業のブランド向上のために利用すると考える時代にきているように思えます。

引用・参考文献

注意

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